6.信託業の担い手(信託業法の改正後)
平成16年12月の信託業法の改正により、これまで実質的にいわゆる信託銀行のみに限定されていた信託業が一般の事業会社に開放されました。さらに、平成18年12月の新信託法の成立により新たな信託類型とされた自己信託(商事信託)に関する規制等が、信託業法に加えられました。
下図は信託会社等の組織形態、参入基準、営業保証金の額などの概要をまとめたものです。
商事信託の担い手
分類 | 設立根拠法 | 参入規制 | 組織形態 | 最低資本金 | 営業保証金 | 主な取扱業務 |
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信託兼営金融機関(信託銀行等) |
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銀行等の金融機関 | 20億円注1 | 2500万円 |
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運用型信託会社(運用型外国信託会社を含む) | 信託業法 | 免許 | 株式会社注4 | 1億円 | 2500万円 | 信託業務 |
管理型信託会社(管理型外国信託会社を含む) | 信託業法 | 登録(3年ごとに更新) | 株式会社注4 | 5000万円 | 1000万円 | 管理型信託業務注5 |
グループ企業内の信託注6 | 信託業法 | 届出 | 会社 | 業法上の規制なし | なし | 同一の会社集団が保有する資産の管理 |
承認TLO(特定大学技術移転機関)注7 | 信託業法 | 登録 | 法人 | 業法上の規制なし | 1000万円 | 特定大学技術移転事業に該当する信託の引受け |
自己信託 | 信託業法 | 登録(3年ごとに更新)注8 | 株式会社注4 | 3000万円 | 1000万円 | 信託業務 |
- 注1銀行法
- 銀行以外の金融機関の設立、免許、組織形態および最低資本金の額は、それぞれの根拠法によります。
- 注2兼営法(信託業務)
- 信託銀行等には、兼営法(金融機関ノ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律)第2条により信託業法が準用されます。
- 注3併営業務
- 兼営法第1条第1項第1号から第7号までに規定する業務です。主な業務としては、不動産業務、証券代行業務、遺言関連業務があげられます。なお、不動産業務は取り扱い可能な信託銀行が限定されています。
- 注4株式会社
- 取締役会および監査役または監査等の委員会(会社法第2条第12号)の設置されている株式会社。なお、信託会社を株式会社に限定するのは、株式会社の業務の安定性・継続性や機関間の相互監視機能に優れた組織形態であるからです。グループ内信託の引受けを行う者についても会社組織に限定されます。
- 注5管理型信託業務
- 委託者または委託者から指図の権限の委託を受けた者のみの指図により信託財産の管理または処分が行われるもの、および信託財産につき保存行為または財産の性質を変えない範囲内の利用行為もしくは改良行為のみが行われるものをいいます。
- 注6グループ企業内の信託
- 委託者、受託者および受益者が同一の会社集団に属する会社である場合の信託をいいます。なお、グループ外の者への受益権の流通は禁止されています。
- 注7技術移転機関
- TLO(Technology Licensing Organization)。
大学等における技術に関する研究成果を企業等に移転を行う機関をいいます。 - 注8自己信託
- 委託者自ら受託者となる信託類型のことをいいます。自己信託の受益権を多数の者(50名以上)が取得することができる場合には登録制(3年ごとに更新制)となります。